「シプリアン・カツァリスは、美しい」
内館牧子ならこう始めるでしょう。
そう、美しかった! カツァリスは美しかった。。。
管理人は、すでに25年くらいのカツァリスファン歴で、もういい加減「カツァリスジャンキー」といってもいいくらいです。つまり「慣れっこ」になってるわけで、だからこそ、新レパートリーを弾いて弾いて、とねだるわけですが、この日、カツァリスは何を弾いてもやっぱり「すごい」ということを再認識。。。
カツァリスさん、やっぱアンタはエライ!
この日カツァリスのパフォーマンスの最大の魅力になったのは、やっぱり美音。とくに弱音の美しさときたら、最近の出色の出来。一番のpppは、ポロポロと宝石のように響かせ、中弱音は、くぐもらせた音で手で撫でるように弾く音の心地よさ。。。これはやはりピアノ(もちろんヤマハ)のコンディションの良さと相性の良さも大きいのでしょう。後半になるにしたがって自由自在に音色をコントロールしておりました。今日のホールだと後ろのほうで聞いたほうがよかったかもしれない。
それから、ちょっとびっくりしたのが、前半のワルツやノクターンなどのおなじみの曲での味付け。たとえば、内声エグリで有名なワルツOp.64-2など、何十回聞いたことかわからないくらいだけど、今日の演奏ではいままでにない遊びを入れてて、ハッとしたところも。リピートしてエグリを入れる前にかなり意図的な Pause を入れたり、ちょっと rit したり。そのほかの曲でも、いままでffで弾いてたところを急にppに落としたり、調子に乗ってたのか、かなり味付けが変わってました。これが即興的なのか、意図的なのかは、何回か今後の公演で聞けば分かるでしょう。おそらく、ピアノが自分の思い通りに鳴るので、気持ちよくなって、思うがままにドライブした結果なのだと思います。
それから、前半はちょっとプログラムが長いかと思うけど、最後に幻想即興曲から子守唄に休みなくつなげたのは流れが途切れないでいい演出だったかも。
で、後半のショパン2番コンチェルトソロバージョンですが、やはり北京で聞いた時よりも、完成度は上がっていたと思います。北京ではかなり慎重に弾いてたのに、今回は遊びが少し加わった感もあるし。そして、やっぱりこの曲は2楽章の美しさがすべて。もう、ずっと続いてくれと思えるような美しい音が頭上から振ってくる何とも幸福な時間となりました。
それから、アンコール
①ゴッドシャルクのバンジョー
バンジョーは、その日の調子のリトマス試験紙みたいなもんで、やはり調子が良いとそれがあらわれます。今日は気持ちよさそうに弾いておりました。
②シューマントロイメライ
この曲だけをアンコールに弾くのは実は珍しい。あんまり記憶にありませんな。
③ショパンノクターン嬰ハ短調遺作
このショパンコンチェルト2番をメインプロにもってくるオールショパンプロなら、絶対に弾くだろうと思っていたこのカツァリス十八番がやはり出ました!
④バッハ(シロティ編)プレリュード
これでもかと、抒情的な曲の3連発アンコール。
⑤即興演奏
で、もう終わりだろうと思ったら、即興演奏!! この即興演奏はこれまでコンサートの冒頭にやるのが今年に入ってのパターンだったので、今日もそうかと思ってたら、最初ではなく、アンコールの最後に!! これはなかなかいい演出ですよ、カツァリスさん!! 演奏効果抜群。かなり客席盛り上がったですよ。残念ながら客入りはなか6-7割であまりよくなかったけど、スタンディング状態になりました! ちなみに今日の即興演奏のパーツは、ハンガリー舞曲1番にはじまり、魔笛、だったん人の踊り、タンホイザー、パガニーニラプソディ、というもの。後半はおなじみだけど、だったん人ははじめてだったかなあ。いや、これは最初にやるより盛り上がるよ。これから茅ヶ崎、浜離宮などへ行く皆さん、今回は最後にこのような即興があるかもしれません。決して途中で帰らないように!!!
そんなわけで、遠く軽井沢まで遠征した甲斐があってなかなかの満足度でした。次回は逗子のベートーベンカルテットとの共演です。
引き続き告知します。
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オフ会を開催いたします。
会の趣旨としては、カツァリスが好きな人なら誰でも気軽に参加していただけるものです。
「カツァリスを囲む会2010」
日時:10月16日(土)13:30-16:30
場所:東京・赤坂見附駅近辺(参加が決まった方にのみお知らせします)
参加費:5,000円(予定)事前振込
ワンドリンク、軽食、デザートつき
内容:
・カツァリスからの近況報告
・カツァリスと自由に懇談、サイン、写真
・参加者同士の懇親
・希望者のみカツァリスと連弾
(希望の方は、5分以内の曲を楽譜持参でご用意ください。希望者が多い場合は
抽選にさせていただきます)
申し込み方法など、詳しくはこちら。
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