カテゴリー: CD情報

パパイオアヌーの新録音の配信販売開始?

ギリシャの作曲家、ヤニス・パパイオアヌーのプレリュードがおそらく配信のみで3月25日にリリース予定です。
https://music.apple.com/jp/album/papa%C3%AFoannou-24-pr%C3%A9ludes-pour-piano-constantinidis-8/1611687471

このパパイオアヌーの曲は昨年の生配信コンサートのときに少し弾きましたが、今回全曲を発売するようです。
どうもPIANO21からではなさそうなので、モーツァルトのコンチェルトのようにおそらく配信限定だと思います。
しかし、こんなのよほどのマニア以外に売れるんでしょうか・・・。

↓56:42くらいからプレリュード2曲

DVD映画「ギーズ公の暗殺」のシーン解説&字幕訳

サン・サーンスの新譜CDの付録だった映画「ギーズ公の暗殺」の字幕訳とシーン解説です。字幕だけではよくわからないところもありますが、想像で。
CDの解説にはあらすじも載ってないんですよね。まさか、1908年の無声映画のあらすじを載せても「ネタバレやめろ!」とかネタバレ警察が出てこないですよねw?

DVDチャプター1
序曲

DVDチャプター2

(字幕訳)ノワールムーティエ侯爵夫人宅に滞在中のギーズ公爵は、国王が悪巧みをしているという警告を受ける。
場面説明:夫人とギーズ公がいる部屋に、使いの者が手紙を持ってやって来る。


(字幕訳・手紙)ノワールムーティエ侯爵夫人、ギーズ公を議会に行かせてはなりません。あなたのそばから離さないように。国王は暗殺を企てているのです。
場面説明:夫人はギーズ公を止めようとして手紙を見せる。


(字幕訳・手紙下部)彼がそんなことをするはずはない!
場面説明:ギーズ公が手書きで書き足し、出かけてしまう。ちなみにこの夫人はギーズ公の愛人らしい。

DVDチャプター3

(字幕訳)国王アンリ3世はギーズ公の暗殺の準備をしている。
場面説明:アンリ3世登場。会議室があるブロワ城の隠れ小部屋に自分の護衛「45人隊」を引き込む。暗殺の手順を指示し、隊員にギーズ公を呼びに行かせ、国王は物陰に隠れる。

DVDチャプター4

(字幕訳)議会の部屋
場面説明:ギーズ公が入ってきて議員たちに挨拶をする。雑談しているところに「45人隊」の隊員が入ってくる。


(字幕訳)国王がギーズ公をお呼びです。
場面説明:会議室を出て国王のところへ向かうギーズ公。

DVDチャプター5

(字幕訳)国王の護衛「45人隊」がギーズ公を短刀で刺す。
場面説明:隊員が先ほどの小部屋にギーズ公を連れてくる。国王はこっそり指示を出す。国王を待っているギーズ公だが、隊員たちに短刀で刺され暗殺される。国王が裏から出てくる。


(字幕訳)ギーズ公の死を確認する国王。


(字幕訳)ギーズ公は死んでもなお影響力のある人物だった。(このあたりの意味がよくわかりません)


(ギーズ公の持っていたメモ 訳)フランスで戦争を続けるには、1ヶ月700,000エキュ(当時の通貨単位)かかってしまう。(このあたりも意味がよく分かりません)
場面説明:そのメモを見つけて、ファイルのようなものにしまってしまう国王。そして、死体の処理を命じる。

DVDチャプター6

(字幕訳)護衛「45人隊」の控え室
場面説明:隊員たちがギーズ公の死体を運んできて暖炉で燃やしてしまう。そこへ、お面を被った国王が夫人を連れて入ってくる。お面を外した国王の顔を見て失神する夫人。

終わり。

途中ちょっとよくわからないことがあるのですが、宗教戦争のことではないかと???
この時代のことはこれを読めばわかるかも!
王妃マルゴ -La Reine Margot- 1 (マーガレットコミックスDIGITAL) 萩尾望都

新譜情報:Hope for an Ideal Ocean

突如として発表された新譜は「Hope for an Ideal Ocean」と題したカツァリスの自作集。
副題に「Inspired by ‘The Outlaw Ocean’ a book by Ian Urbina」とありますが、これはニューヨークタイムズのジャーナリスト、イアン・ウルビナの著書「The Outlaw Ocean(海の無法者)」の内容に触発されたということ。また、この録音は、この本だけではなく音楽などいわゆるマルチメディアでの展開にてこの運動を大きくしようという「The Outlaw Ocean Project」のいわば音楽部門でほかにも数多く録音が配信されており、クラシック畑だとスティーブン・ハフなども参加しているそうです。
この本自体はかなりゴリゴリの硬派なノンフィクションで数々の賞を受賞している問題作らしく、特に近年の中国の乱獲漁業や領有権強奪をやり玉に挙げていてなかなか頼もしい。どこかの北欧の中二病娘と違って気骨あふれる本物のジャーナリストって感じ。ディカプリオが版権を買ってネットフリックスで映像化するらしいのでそうなればもっと話題になるかも。
肝心の曲はといえば、カツァリスの曲はムード音楽仕様で美しく、ちょっと物悲しい。ただ、この本に触発されて書いたという建前ですが、この中の10曲目「Poem of the Ocean」,17曲目「Souvenirs」,18曲目「Tale of the Deep」 の3曲は、2009年の新宿文化センターで弾いたことがある曲なので新曲ではないのはご愛敬。また1曲目の「Appassionato」は2020年1月のルイヴィトンコンサートで弾いています。
おそらく配信のみでCD化はされないと思います。配信は全曲買わなくてもYou Tubeで聞けます(13曲目が途中で欠けてますが)

カツァリスのメッセージ

演奏
1:Appassionato https://www.youtube.com/watch?v=kUNopWtyvN0
2:Dédicace  https://www.youtube.com/watch?v=Xc2OhlQTFyc
3:Endless Ripples  https://www.youtube.com/watch?v=xEhjcjzLQvE
4:Espérance  https://www.youtube.com/watch?v=Fp60pbNyXXM
5:Hope for an Ideal Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=tjarh3BeC4M
6:Le Bal du Destin  https://www.youtube.com/watch?v=M3iM3W472Bc
7:Le Tango du Dandy  https://www.youtube.com/watch?v=0uZ7lTJbpAw
8:Méditation   https://www.youtube.com/watch?v=sSyv84n0xtQ
9:Pirates Are Approaching  https://www.youtube.com/watch?v=nlCqgYOjpdc
10:Poem of the Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=ZOrjq_q6xCo
11:Réconciliation  https://www.youtube.com/watch?v=mXatdZzDPwc
12:Regrets  https://www.youtube.com/watch?v=cCM_CaPcsXA
13:Rêve Exquis  https://www.youtube.com/watch?v=dDi9d480wUQ (途中切れ)
14:Révélation  https://www.youtube.com/watch?v=TOJzbozX2Yc
15:Sea Sickness   https://www.youtube.com/watch?v=8H7Xhc9AizI
16:Solitude at the Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=w7oOQF-R0SQ
17:Souvenirs  https://www.youtube.com/watch?v=OxrVf6ftDkk
18:
Tale of the Deep  https://www.youtube.com/watch?v=YCsZwmzMa6s
19:The Beautiful Waves  https://www.youtube.com/watch?v=qxmK_hbYKvM
20:The Captain Shouts at the Sailors  https://www.youtube.com/watch?v=c-F6-bdiASk
21:The Sailor’s Lament  https://www.youtube.com/watch?v=p-4Dq2BTZvU
22:The Salty Brine  https://www.youtube.com/watch?v=i0dpdMHT-ik
23:The Slave Dreams of Freedom  https://www.youtube.com/watch?v=kKzn0rp3YPk

更新記録:ディスコグラフィーに「モーツァルト初期ピアノ協奏曲オリジナル作品集」を追加

ディスコグラフィーのPIANO21ページに、2020年6月から配信限定販売となっている「Original Works Used for Mozart’s Concertos」を追加しました。
モーツァルトのピアノ協奏曲は第1番K37から第4番K41と3つのピアノ協奏曲K107は同時代の作曲家の編曲を組み合わせたものとされており、これがその元ネタとなっているオリジナル作品だけを集めたアルバム。
サイト直リンク先はこちら。
絶賛配信中のピアノ協奏曲全集は来月全部配信が終わってからまとめて掲載します。

カツァリス:モーツァルトピアノ協奏曲全曲シリーズをダウンロード販売実施中

私も今ころ気づいてびっくりしましたが、CDではVolume7までの発売で止まっていたモーツァルトピアノ協奏曲の全曲シリーズですが、アマゾンやアップルストアなどでダウンロード販売が今年7月ころから順次開始されており、11月くらいまでに全曲配信完了されそうです。
ややこしいのは、CDではVolume1-7でランダム発売してきたものをいったん無かったことにして、あらためてVolume1からシリーズを開始しており、今回はおおよそ1番から順番に配信開始しているため、なにが何だかわかりませんでした。また現在ちょうど配信もVolume7までの発売なので従来のCDの配信だと思うので、普通は気づきません。今回Volume8の発売予定が目に入ったので「!!!???」となって気づき、調べた結果が下記のとおりです。本当に勘弁してほしいです。

現在までのCDでの発売状況
Vol.1 : 13番(K415) / 22番(K482)
Vol.2 : 23番(K488) / 17番(K453)
Vol.3 : 24番(K491) / 18番(K456)
Vol.4 : 21番(K467) / 16番(K451)
Vol.5 : 8番(K246) / 14番(K449) / 15番(K450)
Vol.6 : 7番(K242) / 10番(K365)
Vol.7 : 27番(K595) / 5番(K175) / ロンド(K382)
(カデンツァのバージョン違い収録内容は割愛)

ダウンロード販売の状況(青太字のものがCD未発売の曲です)
Vol.1 : 1番(K37) / 2番(K39) / 3番(K40) / 4番(K41) 
Vol.2 : 3つのチェンバロ協奏曲(K107) / 5番(K175) / ロンド(K382)
Vol.3 : 6番(K238) / 8番(K246) / 13番(K415)
Vol.4 : 7番(K242) / 10番(K365)
Vol.5 : 9番(K271) / 11番(K413) / ヴァイオリンとピアノのための協奏曲(Anh.56)
Vol.6 : 12番(K414) / ロンド(K386) / 17番(K453)
Vol.7 : 14番(K449) / 15番(K450) / 16番(K451)
Vol.8 : 18番(K456) / 19番(K459)  Apple Store 9月25日配信開始予定
Vol.9 : 20番(K466) / 21番(K467)  Apple Store 10月16日配信開始予定
Vol.10 : 22番(K482) / 23番(K488)  Apple Store 10月23日配信開始予定
Vol.11 : 24番(K491) / 25番(K503)  Apple Store 11月13日配信開始予定
Vol.12 : 26番(K537) / 27番(K595) Apple Store 11月20日配信開始予定

Vol.8以降はAppleでは配信予定がでていますがアマゾンはまだです。しかしほぼ同じ時期だろうと思います。

さらにこれに加え、1番ー4番と3つのチェンバロ協奏曲は他人の作品の編曲とされていますが、このオリジナルバージョンを収録したものもダウンロード販売中です。
Original Works Used for Mozart’s Concertos (K. 37, 39, 40, 41 & 107) 当然これもCD未発売。

それから、AppleでもAmazonでも検索が難しいので、「カツァリス」「Katsaris」などでいろいろ試してください。特にVol.4/5/12 はそれではひっかかりませんので、「Various Artists Mozart Piano Concertos」で検索してみてください。

それにしても、なぜこんなややこしいことを人知れずやってるのか腹立たしいですが、商売下手はいつもの通りですし、後期の好きな26番などがでてくるから、まあいいか・・・。

CD発売情報:2019年フズム音楽祭のライブ盤

フズムピアノフェスティバルの公式ライブ盤には、これまでに2015年、2016年(これはDVDも)と2回カツァリスの演奏が収録されていますが、新発売の2019年のライブにもやはり収録されています。この2019年出演時のプログラムは昨年前半集中的にやっていたショパンの弟子&モニューシュコプロでしたが、このCDに収録されているのは、フォンタナのマズルカとショパンの歌曲「枯葉」のペンソン編曲版。このショパンの枯葉は本プロではやってないのでアンコールを収録したものだと思います。
Julian Fontana:Mazurka, Op. 21 No.2
Chopin / Karol A. Penson:Leaves are falling
まだ国内の通販サイトにはでてきませんが、そのうち輸入も開始されると思います。
https://www.danacordbutik.dk/shop/product_info.php?products_id=462

モニューシュコ作品集のカツァリス直筆解説の日本語訳

モニューシュコCDが日本でも先月発売になりましたが、ライナーノートに掲載の解説がカツァリス直筆なので、日本語訳を掲載いたします。

ワルシャワの Staniuszko中央駅を訪れた旅人はこう思うかもしれない。「Moniuszko って誰なのだろう?政治家の英雄?有名な科学者?もしかして音楽家だったのかなあ?」と。

Budapest の Liszt 空港、Salzbourg の Mozart 空港、そしてワルシャワでは Chopin 空港と名づけられたように、その駅もまた偉大な Stanislaw Moniuszko (1819-1972)に敬意を表して名づけられました。ポーランド以外ではほとんど知られていないピアニスト&オルガニストである、この並外れた作曲家は、オペラ、オペレッタ、ミサ曲を中心に360曲以上の歌曲、いくつものピアノ曲や弦楽四重奏曲を遺しました。また、ハーモニー論を書いたということも記載すべきことであります。彼はまた大学教授であり、劇場の支配人でもありました。私は、45年前にMichael Ponti(注)の素晴らしい録音のおかげで初めて Moniuszko のことを知りました。この録音は、Manoir hanté と同様に Moniuszko の最も有名なオペラのひとつである Halka のモチーフをもとにした Tausig のファンタジーで、1945年に Feliks Mendelssohn-Bartholody から下ること4世代の、George H.de Mendelssohn-Bartholdy が立ち上げたVOXレコードから発売されたものでした。そして、私がPiano21から発売したCDに収録しているピアノ用トランスクリプションの数々の著者である素晴らしい音楽家(そして物理学者)である Karol Penson 教授が、最近、Moniuszko について私の関心を引いたのです。その後、Piano Raritiesシリーズの1と3(Piano21から発売済)に、Bernhard Wolff と Michal Marian Biernacki のトランスクリプションである Moniuszko の2つの歌曲「L’étoile」と「O,ma mère(Mia Madre)」を入れることにしました。その少し後に、「ショパンと彼のヨーロッパ音楽祭(ワルシャワ 2013年)」で私が演奏する機会があった時、そのイベントの発起人であり Narodowy Instytut Fryderyka Chopina (Institut Frédéric Chopin / ショパン研究所)の局長補佐であるStanislaw Leszcynski さんから、Moniuszko の音楽のとある企画の実現について、お誘いを受けたのです。

2019年、我々はこの偉大な作曲家の生誕200年を祝うことになりました。それこそが、私が2018年末、2019年8月27日に Moniuszko の音楽を含めたプログラムのリサイタルの依頼を受けた理由なのであります。私は、コンサートの第1部ではショパンの弟子達が作曲した作品を(Karol Mikuli、Thomas Tellefsen、Adolphe Gutmann、Julian Fontana、Carl Filtsch)、そして第2部では Moniuszko の作品を演奏することに決めました。その時、私は身震いさせられるような驚くべきことを知ったのです。なんとMoniuszkoは、私と同じ5月5日生まれだったのです!

私は、直ぐにこの偶然の一致のことを、Moniuszko の作品を収録したCDを発売するというアイデアを持っていた Stanislaw Leszczynski に話しました(今までに Moniuszko のピアノトランスクリプションの作品の録音はひとつも発売されていない)。そして、できる限り我々の誕生日である5月5日にCDを発売すること、また、同じ日にコンサートを開くよう、準備するようにと言ったのでした。私は早速、2月の35回目の日本ツアーの最中に、集中して準備を始めました。Moniuszko の音楽は、私にとって偉大な発見であったということを認めざるを得ませんでした。彼の作品の多様性と偉大さは、世界中の人々に知ってもらう価値があるに違いないと。

彼のピアノのための創造芸術はそれほど多くはないにもかかわらず、各々の小さな作品の価値は驚くべきものがありました:それはまさに宝の山でした。全ての作曲家と同様に、Moniuszko は他の作曲家達(Carl Maria von Weber、Robert Schumann、Mendelssohnなど)から影響を受けました。(Chopin と Moniuszko がすでに出会う機会があったかどうかは確かではありません。)しかしながら、この作曲家は自分のオリジナルなスタイルを発展させました:誰もが知っている歌曲やポーランドの舞曲(マズルカ、ポロネーズ)だけではなく、ウクライナのメランコリックな歌曲(doumka)や、有名な南イタリアの Villanelle(後にカンツオネッタとなった16世紀のナポリでみられた田舎っぽい、皮肉で滑稽な3声のlaique)などを取り入れたのです。興味深いことには、間違いなくエロティズムが薄く色づいた Moniuszko のノクターンは、「巡礼の年第2年への追加、ヴェネツィアとナポリ」のタランテラの寄せ集めの1部分、けだるいナポリのカンツォーネの寄せ集めと比較することができます。

ここで紹介されている作曲家の歌曲とオペラの主題に関するさまざまなトランスクリプションと幻想曲の背景には、Moniuszko 自身が、オペラ「Manoire hanté et Halka」の中の2つのマズルカのこの独特で柔軟なリズムを、オーケストラで演奏するよりもピアノで演奏する方よりたやすくしているのだということを意識して編曲しなおしているのだということを注記しておきます。もし、Moniuszko の作品、とりわけ Cosaque、Doumkas、あるいは Noturne が国際的なコンサートホールでアンコール曲として演奏されていたなら、世界的なステイタスを得て、またこのポーランドの天才の名前を世に出すことに一役買うことになったであろうと、私は確信しています。一方では、200年たった現在に至っても、Moniuszkoが得るべき国際的な名声をまだ獲得していないことは非常に残念であります。しかし他方では、無尽蔵な貴重な音楽作品のおかげで、我々はまだまだ新たな発見をすることができるのです。。。

Cyprien Katsaris

注:Michael Ponti:ドイツ出身のアメリカのピアニストで現在81歳

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