ストリーミング動画情報&インタビュー:9月12日エネスク音楽祭

9月12日の現地午前中に行われたエネスク音楽祭での名歌手の息子チェリストのマニュエル・フィッシャーディスカウとの共演動画があと数時間下記サイトから見られます。
https://www.festivalenescu.ro/en/events/cyprien-katsaris-manuel-fischer-dieskau/#.YT2XwJAFIHM.twitter

ブラームスのチェロソナタNo.2っていうのがいいですな。
Schumann Adagio and Allegro Op. 70
Enescu Trois mélodies, arr. for cello and piano (Le desert, Le galop, Soupir)
Enescu Allegro in F minor for Cello and Piano
Brahms Cello Sonata No. 2 in F major Op. 99

これに先立ち、下記のサイトでルーマニア語のカツァリスのインタビューが掲載されていますが、CDについて新しい情報がありました。
https://www.romania-muzical.ro/articol/festivalul-george-enescu-2021-interviu-cu-pianistul-i-compozitorul-cyprien-katsaris/3218631/15/2

以下、翻訳抜粋。
「コンサートがすべて中止になったため、新たに録音用のプログラムを用意し、2020年5月から10枚のCDを制作しました。そのうち5枚は私のレーベルであるPiano 21のために、3枚はショパン・インスティテュートのためで1枚はショパンの友人や弟子の作曲家の作品、そして前にお話したモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』のディスク、そしてフランスのレーベルであるMelismaのためのあまり知られていないギリシャの作曲家のCD2枚です。そんなわけで、私はとても忙しい日々を送っています」
全部足しても10枚にならないのですがw

それから、今回のコンサートの相方であるマニュエル・フィッシャーディスカウのインタビューもありましたが、カツァリスについて言及している部分。前に一度共演があったみたいです。
https://www.romania-muzical.ro/articol/festivalul-george-enescu-2021-interviu-cu-violoncelistul-manuel-fischer-dieskau/3218651/15/2?fbclid=IwAR0swovIr4YLPh-8Yn4Mb_mTw5kHVZks5IUhw-1CyQ3OxYFpVzR9Cgn_cxA

「エネスク音楽祭では、ピアニストのシプリアン・カツァリスさんと一緒にお話を伺います。以前にもコラボレーションしたことがあるのではないでしょうか?」
「はい、一度だけですが、数年前にスイスで、彼と一緒に演奏したときは本当に楽しかったです。私は彼の音楽性に魅了されています。彼はまるで19世紀の芸術家のようで、例えばフランツ・リストのようです。 私たちはベルリンの同じエージェンシーと仕事をしていますが、彼とステージで再会できるのは私にとっても嬉しいことです」

You Tube 情報:1994年N響とのモーツァルトピアノ協奏曲第12番

カツァリスはこれまで4回N響と共演していますが、全部が映像になっており、ありがたい限りです。
その3回目の1994年、ウーヴェ・ムント指揮でモーツァルトピアノ協奏曲第12番がこれです。
 
 
アンコール

このほかN響との共演は

1985年 リスト:ハンガリー幻想曲、シューベルト(リスト編)さすらい人幻想曲
1988年 シューマンピアノ協奏曲
2011年 モーツァルトピアノ協奏曲

ですが、さすらい人以外は You Tubeにあがってますので、それぞれリンクさせときます。
さすらい人は実は以前VHSで持ってたのですが、上から間違って消してしまいました。最初のN響アワーでは抜粋になってしまっているのでいまは幻の映像です(涙)
あと、マニアックなことですが、シューマンのピアノ協奏曲は、なぜか1988年4月2日のときの演奏が1998年のN響アワーで放映され、1988年4月1日のときの演奏が、2004年のN響アワーで放映されました。このリンク先は4月1日の映像です。

You Tube情報:1996年来日公演アマオケとの共演映像

今日なんとびっくりの動画がアップされてました。
1996年11月17日群馬県の笠懸野文化センターでの「ぐんま青少年オーケストラ」との共演映像です。
アマチュアのジュニアオケとの共演曲目ベートーヴェンピアノ協奏曲第3番よりもアンコールが超貴重です。(アマチュアオケにはむかし石井宏さんがオーボエを吹いていたオケとよく共演していたなあ・・・)
この年1996年は歴代来日公演の中でもとびきり素晴らしかった「バルカロール&イタリアンオペラ編曲もの」プロで、この日のアンコール2曲目にその中からベルリーニ(タルベルク編)のノルマ「清き女神」の主題による変奏曲を弾いているのです。この年のプログラムの映像が出てくるのは初めてです!(カツァリス自身もこのプログラムをCDにしたいらしく来日公演のときの録音を探しています)
そもそも、実は90年代後半のカツァリスの映像ってほとんど残ってなくて、全盛期の姿が拝めないので本当に貴重です。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
アンコール モーツァルト:パンとバター、ベルリーニ(タルベルク編):ノルマ「清き女神」の主題による変奏曲
1996年11月17日群馬県の笠懸野文化センター
 
 

You Tube 情報:5月9日夜12時から生配信(テッサロニキでのコンサート)

ギリシャ・テッサロニキでのコンサート(無観客?)が日本時間5月9日夜12時(0時)から生配信されるようです。
プログラムはいつものやつ+ギリシャもの多めのプロです。

カツァリス:ニコラオス・マンザロス作曲ギリシャ国歌主題による即興演奏
カツァリス:ベートーヴェン交響曲第9番 op.125より「歓喜の歌」による即興演奏 
J.S バッハ(カツァリス編):ピアノ協奏曲 BWV1056からラルゴ
ハイドン: ピアノソナタ Hob. 16/35
シューベルト:ピアノ小曲(即興曲)D946-2
シューマン:子供の情景
サンサーンス(ガルバン編):動物の謝肉祭から No. 3 Hémiones  /  No. 8 Aquarium /  No. 13 Le Cygne
ヤニス・アンドレオウ・パパイオアヌー:前奏曲第7番・第8番
カツァリス: 世界最古の音楽「セイキロスの墓碑銘」の主題による即興曲

パパイオアヌーははじめてのような気がする。1910-1989のギリシャ・アテネの作曲家らしいので比較的最近の人だが、曲は古風らしい。
最後のセイキロスの墓碑銘は、古代ギリシャ紀元前2世紀ごろの完全な形で残っている世界最古の音楽として有名で、ときどきカツァリスはこれをテーマにして即興演奏したり、このメロディーで作曲された曲を演奏したりしている。
 
 

なお、翌日は広瀬悦子、翌々日はアレキサンダーギンジンとカツァリスファミリーが登場します。

最新インタビュー&動画:第32回フェロール国際ピアノコンクール オープニングセレモニーとフランクフルト総合新聞インタビュー

GW最中の4月30日に新しい動画とインタビューが掲載されたので紹介します。

まず、You Tubeですが、現在開催中の第32回フェロール国際ピアノコンクールの4月30日のオープニングセレモニーでの演奏です。懐かしいバリー・ダグラスの演奏のあと登場します。
演奏曲は、いつもの即興演奏とシューベルトピアノ小曲(即興曲)D946-2、サンサーンス(ガルバン編)動物の謝肉祭から、です。1:20:00くらいから登場です。
 

即興演奏の前に、客席から4つの音を「お題」としてもらうというまたよくわからないことをやってますが、最初だけであとはいつもの即興ですwww

インタビューは同じく4月30日にフランクフルト総合新聞のウェブ版に掲載されたものです。オリジナルはドイツ語なのでよくわかりませんが、新譜情報のところを中心に以下抜粋。

  • コロナで2020年は7回しかコンサートができなかったが、その代わりCDの録音をガツガツやっている。
  • サン=サーンスの没後100年を記念して、オリジナル作品とトランスクリプション作品の2枚組アルバム
  • “On Wings of Song “というタイトルのアルバムでは、13曲のロマンティックな曲をまずオリジナル(テノールのクリストフ・プレガルディエンを起用)で、次にトランスクリプションまたはパラフレーズで(シューベルトの歌曲でやったようなものの第2弾か?)
  • リストのテーマ別プログラムで4枚組
  • バッハのアルバムが2枚
  • 南米の曲を集めたアルバムが1枚
  • ヨゼフとミヒャエル・ハイドンの2枚アルバム
  • ハイドンの協奏曲3曲を収録したCD(これは故マリナーの指揮でかなり前に録音されたもの)
  • ギリシャの作曲家の作品を集めたアルバム(ヤニス・コンスタンチニディス、ディミトリオス・レヴィディス)
  • 賛美歌、行進曲、軍歌など、グリンカからショスタコーヴィチまでのロシアの楽曲92曲のトランスクリプション
  • 5月5日カツァリス70歳誕生日に予定されていたパリのサル・ガヴォーでのリサイタルは9月28日に延期。

新譜情報:Hope for an Ideal Ocean

突如として発表された新譜は「Hope for an Ideal Ocean」と題したカツァリスの自作集。
副題に「Inspired by ‘The Outlaw Ocean’ a book by Ian Urbina」とありますが、これはニューヨークタイムズのジャーナリスト、イアン・ウルビナの著書「The Outlaw Ocean(海の無法者)」の内容に触発されたということ。また、この録音は、この本だけではなく音楽などいわゆるマルチメディアでの展開にてこの運動を大きくしようという「The Outlaw Ocean Project」のいわば音楽部門でほかにも数多く録音が配信されており、クラシック畑だとスティーブン・ハフなども参加しているそうです。
この本自体はかなりゴリゴリの硬派なノンフィクションで数々の賞を受賞している問題作らしく、特に近年の中国の乱獲漁業や領有権強奪をやり玉に挙げていてなかなか頼もしい。どこかの北欧の中二病娘と違って気骨あふれる本物のジャーナリストって感じ。ディカプリオが版権を買ってネットフリックスで映像化するらしいのでそうなればもっと話題になるかも。
肝心の曲はといえば、カツァリスの曲はムード音楽仕様で美しく、ちょっと物悲しい。ただ、この本に触発されて書いたという建前ですが、この中の10曲目「Poem of the Ocean」,17曲目「Souvenirs」,18曲目「Tale of the Deep」 の3曲は、2009年の新宿文化センターで弾いたことがある曲なので新曲ではないのはご愛敬。また1曲目の「Appassionato」は2020年1月のルイヴィトンコンサートで弾いています。
おそらく配信のみでCD化はされないと思います。配信は全曲買わなくてもYou Tubeで聞けます(13曲目が途中で欠けてますが)

カツァリスのメッセージ

演奏
1:Appassionato https://www.youtube.com/watch?v=kUNopWtyvN0
2:Dédicace  https://www.youtube.com/watch?v=Xc2OhlQTFyc
3:Endless Ripples  https://www.youtube.com/watch?v=xEhjcjzLQvE
4:Espérance  https://www.youtube.com/watch?v=Fp60pbNyXXM
5:Hope for an Ideal Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=tjarh3BeC4M
6:Le Bal du Destin  https://www.youtube.com/watch?v=M3iM3W472Bc
7:Le Tango du Dandy  https://www.youtube.com/watch?v=0uZ7lTJbpAw
8:Méditation   https://www.youtube.com/watch?v=sSyv84n0xtQ
9:Pirates Are Approaching  https://www.youtube.com/watch?v=nlCqgYOjpdc
10:Poem of the Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=ZOrjq_q6xCo
11:Réconciliation  https://www.youtube.com/watch?v=mXatdZzDPwc
12:Regrets  https://www.youtube.com/watch?v=cCM_CaPcsXA
13:Rêve Exquis  https://www.youtube.com/watch?v=dDi9d480wUQ (途中切れ)
14:Révélation  https://www.youtube.com/watch?v=TOJzbozX2Yc
15:Sea Sickness   https://www.youtube.com/watch?v=8H7Xhc9AizI
16:Solitude at the Ocean  https://www.youtube.com/watch?v=w7oOQF-R0SQ
17:Souvenirs  https://www.youtube.com/watch?v=OxrVf6ftDkk
18:
Tale of the Deep  https://www.youtube.com/watch?v=YCsZwmzMa6s
19:The Beautiful Waves  https://www.youtube.com/watch?v=qxmK_hbYKvM
20:The Captain Shouts at the Sailors  https://www.youtube.com/watch?v=c-F6-bdiASk
21:The Sailor’s Lament  https://www.youtube.com/watch?v=p-4Dq2BTZvU
22:The Salty Brine  https://www.youtube.com/watch?v=i0dpdMHT-ik
23:The Slave Dreams of Freedom  https://www.youtube.com/watch?v=kKzn0rp3YPk

動画情報:パトリック・デュポンとカツァリス(1985年)

本サイトのこちらのコーナーでも紹介していますが、まだ無料で見れるようですのであらためて紹介します。
カツァリスがお得意の「Happy Birthday to you」のテーマでの即興演奏をし、それにあわせてあのフランスバレエ界の大スター、パトリック・デュポンが踊るというなんとも珍しい動画です。TV番組なのですが、舞台上ではオーケストラが並び、二人の演奏、踊りはスクリーンに映されているというよくわからない状況です。。。

https://www.ina.fr/video/I00018369/patrick-dupond-danse-sur-happy-birthday-to-you-video.html

踊りが演奏にあわせているのか、演奏が踊りにあわせているのか、微妙なとこのようですが、それなりに息もあっていて奇妙さや無理矢理感はありません。
1985年1月4日の放送というので35年前の映像ですが、このサイト、INAというのはフランス政府が肝いりで過去の全TV放送をアーカイブ化して公開するという壮大な計画で、カツァリスも他に有料も含めていくつか動画が公開されています。日本ではTV番組のアーカイブ化を「事後検閲につながる」などと民放連が必死に反対しているのが情けない限り。

動画情報:2016年11月8日瀋陽でのコンサート(親和力プロ)

中国の動画サイトで、2016年11月8日に瀋陽で行われたコンサートの模様がなかなかの映像、音質でアップされているので紹介します。
おそらくカツァリス未公認です。

2016年11月8日 瀋陽音楽学院ホール
アップしている人がファイル名、曲順を間違えてアップしているので訂正しています。

1. カツァリス:即興演奏(https://v.qq.com/x/page/w315607dzx1.html
2. シューベルト:ソナタD.960(https://v.qq.com/x/page/u3156rcsfft.html
3. ジャン=バティスト・ルイエ:クーラント ホ短調(https://v.qq.com/x/page/b3156bvbttv.html
4. ゴドフスキー:ルネッサンス第10番(https://v.qq.com/x/page/c31560olprf.html
5. フォンタナ:マズルカ Op.21-2(https://v.qq.com/x/page/a31562kyogi.html
6. ショパン:マズルカ Op.64-7(https://v.qq.com/x/page/z3156bredm6.html)ファイル名が間違っています
7. カツァリス:ありがとうショパン(https://v.qq.com/x/page/q31566p2pb4.html)曲順が間違っています
8. ヨハン・シュトラウス2世:ウィーン気質より(https://v.qq.com/x/page/d31560qoj2u.html
9. リスト(カツァリス編):ピアノ協奏曲第2番(ソロバージョン)(https://v.qq.com/x/page/x31563auu5w.html
10. マルチェロ(バッハ編):アダージョ(https://v.qq.com/x/page/v3156cy3a76.html)曲順が間違っています。

明らかにカメラ数台(固定だけど)・マイク・曲名タイトル表示などきっちり作成している動画なのに、オフィシャルに上がっていないということはなんらかの理由で許可していないと思われます。
同時期の北京公演の映像でも最初に違うバージョンがアップされてカツァリスが怒っていましたので、これも結局本人が気に入らないのではないかと思います。

カツァリスの2021年はサン=サーンス?

2020年の音楽界は全世界的にベートーヴェンイヤーが不発に終わったわけですが、いまのところ2021年のカツァリスの来日公演もその予定です。(葛飾だけショパン)
しかし、カツァリスとしては2021年はどうもサン=サーンス推しのようです。サン=サーンスは2021年は没後100年となります。
というのも、2021年5月5日カツァリス満70歳の日にパリで誕生日コンサートが予定されていますが、そのプログラムが下記のとおりです。

バッハ:前奏曲(幻想曲) BWV922
モーツァルト:幻想曲 K.396
ブラームス:間奏曲 Op.117-2
シューベルト:ピアノソナタD.960
サン=サーンス(ガルバン編):動物の謝肉祭
サン=サーンス:ギーズ公の暗殺 Op.128

バッハは2000年のオールバッハプロ以来、そのほかはいつものレパートリーですが、後半2曲がサン=サーンス。ガルバン編の謝肉祭は既存レパートリーで、最後の「ギーズ公の暗殺」が新レパートリーです。この曲はよくカツァリスの出すクイズで「世界最初の映画音楽の作曲家はだーれだ?」というものの答えとなる曲です。1908年に作られた世界初の映画音楽のオリジナルスコアとして(しか)有名でない曲をサン=サーンスのアニバーサリーイヤーかつ自身の70歳バースデーコンサートの最後の曲にもってくるとは、やっぱり2021年もカツァリスはカツァリスなのだなあ。。。
まさか日本でフィルムコンサートとか? この曲だけじゃなくて他の映画も組み合わせて勝手にカツァリスが音楽付けてやったら面白いかも?
 

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