2015年のツアーも終わりましたので、簡単にまとめを。
《ソロコンサートの曲目について》
・ 今回のツアーは、始まる前は、初めて生で弾くショパンバラードNo.2が話題だったわけですが、終わってみればモーツァルトソナタNo.11とワーグナーの編曲物が出色。
・ 特にモーツァルトは随所にカツァリスらしさをちりばめ、内声えぐり、独特のアクセントをつけ、それでいながら意外にゆっくりと全体としてはがっちりした演奏でした。都合3回弾きましたが、後になるほど固まっていったかも。
・ ワーグナーの編曲物は文句なし。意外なことに初披露のワルキューレも超絶だが、エルザ(リスト編)の美しさにため息。
・ 一方、期待のショパンバラードNo.2は特別な驚きはない演奏。テルデックのCDを基準にするといかんね。
・ 前半のブラームスは、悪くはないが、どうも譜面めくりが気になって集中できず。特に聞くのに集中力がいる曲なのに・・・。
・ そんなわけでショパンの「へ調」縛りのプログラミングは結局?だったし、全体通してみると、モーツァルトとワーグナーの印象しか残っていないけど、新しいプログラムとしては大成功だったのでは。
《シマノフスキー弦楽四重奏団との共演》
・ 2011年にドヴォルザーク、ショパンP協2番の演奏で共演したシマノフスキー弦楽四重奏団との再会は今年のスマッシュヒット。
・ とくに日経ホールの翌日に当初予定になかった浜離宮でのシマノフスキーSQ単独公演にサプライズ(というより無理矢理)出演して急遽演奏したシューマンのピアノクインテットは、他人とも立派な演奏ができることを証明したわけでw
・ そんなカツァリスにピッタリあわせたシマノフスキーSQ、地味ながら、腕の立つ職人集団でした。
・ またどこかで共演できたらよいですな。
《PACとの皇帝》
・ 予想通り、ちょっと残念な結果。
・ 特にピアノが鳴らずに、カツァリスも戸惑い気味。
・ 水を得た魚のアンコールの即興演奏での「赤とんぼ」にライト層じいちゃんばあちゃんがした拍手が救いだったわ。
《その他情報》
・ 今回、比較的、いろんなピアノを弾いたカツァリス、一部ではピアノが合わず苦労したみたい。結果的にしらかわホールのヤマハが一番コンディションがよく本人も納得の出来だった模様。
・ というのも、カツァリスが日本で演奏するときにはヤマハの最新CFXを、カツァ曰く「スペシャルで別格な」調律師である曾我さんが調律するというのがお決まりだったわけですが、その「神の手」曾我さんが海外転勤してしまい、別の方が担当されたようで。いや、本当に曾我さんの調律だとカツァのテンションが違うんですよねえ。
・ 次のPIANO21の新譜予定は、来年早々に、モーツァルトのピアノ協奏曲全曲シリーズをBOXで出すと。これまで7枚で止まっていて、早く出してほしいけど、なら最初からBOXで出してくれよ。。。なんかいろいろ珍しいコンチェルトも入ってるらしい。本人いわく「これがほんとのコンチェルト全曲だ」と。
・ このチャイコフスキーコンクールの記念CDに、ブーレーズのソナタが収録されているので教えたら、初耳だったらしく驚いていた。このチャイコンの演奏はPIANO21から発売されているが、ブーレーズだけは音源が見つからないと言われていたので収録されていることにニックリ。本人いわく「舞台では曲を忘れてしまって即興演奏したからむちゃくちゃだった」と笑って、「ぜんぜん違う曲なので、これが収録されているということは誰もブーレーズの曲は知らないんだな」、とwww。 でもこのCDに収録されている中では唯一の非入賞者なのでご満悦でした。
《どうでもいい情報》
・ 生魚を絶対食べないカツァリスだが、スモークサーモンとイクラは食べる。スモークサーモンはほぼ生だろという総ツッコミにもスモークされていると力説。
・ このお菓子が大好きでパリに売っていないらしく、今回日本で見つけて大量に持って帰った。みなさん今度これをプレゼントしたら喜びますよ。
・ えー、外見はさすがに64歳で年取ったと思いますが、まだまだ、まだまだ元気です。
そんなわけで、ここ数年、腱鞘炎、心筋梗塞、脳梗塞と心配続きでしたが、なんだか通常モードで元気な姿を見せてくれてほっとした今年の来日公演でした。
すでに発表されていますが、来年は10月と12月に来日公演があります。10月はひさびさに九州ツアーもありそうです。コンチェルトも予定されていたり。そして12月は、広瀬悦子さんとのデュオになります。内容は12月らしく、クリスマス関係だったり、年末のあの曲だったりするかも?
帰りがけには、いつかラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をソロバージョンとオケバージョンで1枚のCDになどとポツリとつぶやいていましたが、さていつか実現するのでしょうか。
そんなわけで2015年追っかけ終了です。お疲れ様でした。
明日よりカツァリスを忘れて別のヲタ道に邁進いたします。
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