2017年11月に発売されました、カツァリスの地元の大先輩、ミキス・テオドラキスに捧げるCDですが、中の解説をカツァリスが自分で書いていますので、紹介します。
CDの曲目:
カツァリス:テオドラキスの『その男ゾルバ』による大幻想曲~ギリシャ狂詩曲(世界初録音)
カツァリス:テオドラキスの歌曲による自発的な即興曲(世界初録音)
テオドラキス:11の前奏曲 AST.44より第7番「Andante semplice」
テオドラキス:12のメロス AST.541より第5番
テオドラキス:ピアノのための小組曲 AST.90
私が最初にギリシャの偉大な作曲家ミキス・テオドラキスに会ったのは、1978年3月1日にパリのサル・プレイユで開かれた1974年の戦争の難民犠牲者のためのチャリティーコンサートでした。
私はこのコンサートで自作の「キプロスのラプソディ」を初めて演奏しました。(注:このときの演奏はアンコール集CDに収録されている)
また、80年代の初めに、私はRTL交響楽団と2枚組のCDをレコーディングしました。テオドラキスのピアノ協奏曲第7番、組曲第7番、交響曲第2番「地球の歌」で、テオドラキス本人が指揮をしました。(注:これはPIANO21から発売済み) 私たちはこのプログラムをベルギやルクセンブルクのエテルナハ国際音楽祭でも演奏しました。
そして、ここ数年私は、映画ソルバのサウンドトラックをベースにした12分くらいのピアノ作品をリストが有名なハンガリー狂詩曲でやったようなスタイルで作曲しようかと考え始めてました。
1990年代に私はテオドラキスから彼のゾルバの楽譜を受け取りました。それはイタリアのヴェロ-ナ音楽祭から委嘱されたもので、彼がパリのアパートで8カ月かけて作った手書きの追加の音楽も含まれていました。
私はそれをじっくり読み込み、自分の最初のアイデアを膨らませることができる音楽性に感銘しました。しかし、私はコンサートやレコーディングが忙しく、2005年から2007年1月17日にフロリダで完成するまで、ときどきなんとか合間をみつけて、結局数年かかりました。
この曲は53分もの大曲でギリシャの人々に捧げます。しかし、とにかく練習、演奏するのには難曲です。私は常に楽譜を広げ、離れることができませんでした。難しいだけではなく、私は常にコンサートとレコーディングに追われているのです。
この状況に、とにかく早くこの新曲を聴きたいテオドラキス氏はイライラしてきました。
2012年2月、アテネでのコンサートでテオドラキス氏の前で彼のピアノ協奏曲を演奏したあと、私はゾルバの抜粋を即興演奏し、ステージから聴衆の前で彼にこう呼び掛けました。
「あなたが立腹されているのは分かってます。私はこれを練習し、レコーディングする時間がなかったのです。しかし、とうとう私はあなたにこの52ページの楽譜を捧げます」
2017年の春、このプロジェクトをなんとかやり終えました。これに加え私はいくつかの有名な彼の歌曲を主題にした15分の即興曲も録音しました。さらに、彼の音楽的才能の多面性を示すオリジナルのピアノ曲も数曲加えました。
私は、このレコーディングプロジェクトを完全なギリシャ人によるものにしたかったのです。作曲家、ピアニスト、すばらしいレコーディングエンジニア、そして写真家、すべてギリシャ人です!
Cyprien Katsaris
注:ちなみにこれがこのゾルバ曲の自筆譜!!! なんじゃこりゃ!!??
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