Article:2004-2023年 主にPIANO21盤の月評要約

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レコード芸術 2004年7月号 新譜月評
準推薦盤 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番、ピアノソナタ第31番、第12番「葬送」 

月評まとめコーナーでも書いたように、レコード芸術の月評は国内盤を対象としており、輸入盤の場合は、日本のディストリビューターにて日本語帯、日本語解説を付けた「国内盤仕様」にならないと対象にならない。よって2000年にソニークラシカルとケンカ別れしたカツァリスが自分で好きにやりたいと立ち上げたレーベルPIANO21も、国内盤仕様のものが発売される2004年5月以前に発売された約10枚ほど(カーネギーホールライブを含む!)は月評対象ではないまま過ぎ去ってしまった(月評ではなく海外盤紹介コーナーでは2001年と2004年に2回ほど特集されている)。
ようやく、はじめて月評対象となったのが、このベートーヴェン協奏曲第3番のアルバム。ソニー時代はコンチェルトのCDは発売されなかったので久しぶりだが、月評担当者が歌崎氏と岩井氏(!)に代わっており、今回のベートーヴェンでは歌崎氏が準推薦マーク。

【歌崎氏月評】
  • 協奏曲のソロは、明敏なタッチで強弱緩急自在に弾きだされ、音色も含めて実に多彩で、冴えたタッチと軽快な生命感をたたえた表現が新鮮。とくに弱音でのクリアな音彩はたとえようもなく美しく、カツァリスの個性が存分に発揮された演奏。
  • ただ、冴えた技巧、精緻なピアニズムに感嘆しながらも、これがベートーヴェンか!?という思いが頭から離れなかったのは事実で、この個性を受け入れるかで評価が分かれる。
【録音評】87点
  • オケとピアノがバランスよく収録されているが平均的な仕上がり。

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レコード芸術 2004年08月号 新譜月評

特選盤 モーツァルト:ピアノ協奏曲第13番 / 第22番(全集第1弾) 

記念すべきカツァリスのレコ芸初の特選獲得が実はこのCD。苦節20年以上かかって初の特選。しかもかつての天敵岩井氏も絶賛という奇跡! 輸入盤では2001年に発売されていたが、東京エムプラスによる正規輸入が開始された後に国内仕様で再発されたため2004年になって月評対象になった。

【岩井氏月評】推薦
  • 1980年代の一風変わったピアニストで「たんに腕が立つだけのピアニストに終わらなければよいが」と思っていたカツァリスががフランスが久しぶりに生んだ「モーツァルト弾き」として現前してきた。
  • テクニックによるモーツァルトを誇張するのではなく、伝統を堅持して埋没するでもなく、音楽的生命をしなやなに注入した演奏は響きが透明ですこぶる清澄で清新でモダンな印象でなんとも快い。
  • 22番のカデンツァのA/Bは18世紀スタイルのAを選択したのが正当、正解と考える。
【歌崎氏月評】推薦
  • 持ち前の冴えた技巧を軽やかに切れ味美しく生かした演奏はカツァリスならではで、いかにも粒立ちのよいタッチと多彩で澄んだ音色も魅力的。
  • 22番のカデンツァはAがあっていると思うが、ワルトシュタインソナタのこだまや皇帝のカデンツァからの引用も聞こえるBもカツァリスらしくて面白い。
【録音評】93点
  • のびやかで晴れ晴れとした音響的条件のよさ、ザルツブルク・モーツァルテウムホールの響きの良さを聴くことができる。

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レコード芸術 2004年11月号 新譜月評

準推薦盤 シューマン:ピアノ作品集Vol.1 (蝶々 / 花の曲 / アラベスク / 子供の情景 / 幻想曲) 

前回のモーツァルトコンチェルトで初のレコ芸特選を獲得したものの、いまだソロアルバムでは準特選止まり。このシューマンのアルバムでも辛うじて濱田氏が準推薦マーク。これは仕方ないところ。

【濱田氏月評】
  • カツァリスは好悪の分かれやすいピアニストだと思うが、個人の好悪あるいは評価をいわせてもらえば好きなピアニストであり貴重な芸術家と考えている。
  • 1977年から2003年までさまざまな時代の音源を集めたもので、カツァリスのシューマン弾きとしての個人史がうかがえる。
  • 1977年の蝶々は若くほほえましく、1989年の子供の情景では円熟を実感できる秀演、2003年のアラベスクも美しい。興味深い1枚。
【録音評】90前後
  • さまざまな時代の4回にわたるライブ収録。

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レコード芸術 2004年12月号 新譜月評

準推薦盤 モーツァルトファミリーの音楽 

この月は、モーツァルトの企画もの「モーツァルトファミリー」と「トランスクリプション」の2枚リリースされ、それぞれ月評対象。こちらファミリーものでは那須田氏が準推薦マーク。

【那須田氏月評】
  • おもちゃの交響曲は生き生きとチャーミング。軽やかな三度の連続や小気味よい明快なアーティキュレーションはさすがの腕達者。第2楽章のかっこうの木霊はどうやって弾いているのであろうか。
【録音評】87点
  • 音のキャラクターの面ではとりたてるほどの特質は見いだせない。

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レコード芸術 2004年12月号 新譜月評

準推薦盤 モーツァルトトランスクリプションズ 

同月2枚目のトランスクリプションは濱田氏が準推薦マーク。このCD、内容・企画は良いと思うのだが、今聞き返しても録音が悪い。おもちゃのピアノのように聞こえ、残念。

【濱田氏月評】
  • モーツァルト交響曲第40番のフンメル編が初耳だが、原曲に忠実でかつてカツァリスが弾いていたベートーヴェンリスト編よりもピアニスティックに響き、自然に聴ける。
  • 魔笛から小曲が1ダースほど弾かれているが、そのうち数編の編曲者がビゼーというのも「よく探してくるものだ」と感心せざるをえない。
  • 企画・演奏ぶりとも、このピアニストの才覚を十二分に発揮した注目すべきディスク。
【録音評】90点
  • 音が軽めでスケール感はなく、こじんまりと定位。粒立ちは悪くない。

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レコード芸術 2005年03月号 新譜月評

準推薦盤 J.S.バッハ・リサイタル-2(バッハトランスクリプションズ) 

あのカツァリス編トッカータとフーガを含むトランスクリプションアルバムは那須田氏のみ準推薦。そんなに悪いアルバムではないと思うのだが。確かに音はそんなに良くないのでSACDにもかかわらず録音評が辛口。なお、バッハオリジナル作品集ですでに輸入盤でリリースされていた「バッハリサイタル1」は国内盤未発売扱いで結局月評対象にならなかった。

【那須田氏月評】
  • 聴きどころはなんといってもカツァリス自身の編曲によるトッカータとフーガでまさしく独壇場。グランド・ピアノを完全に鳴らし切った、重厚かつ圧倒的な演奏でヴィルトゥオジティはいまだ健在。
  • カラフルな色彩はコンサートグランドピアノの可能性をフルに生かしていてSACDの醍醐味。これもまた、バッハを聴く楽しみ方の一つだろう。
【録音評】90点
  • 響きがもやもやして輪郭がはっきりしない。大きめに音像が広がり、タッチの粒立ちを聞き取りにくい。
  • 強奏は過多に華麗、やや混濁気味で聴きにくい。SACDは聴く気になれなかった。

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レコード芸術 2005年10月号 新譜月評

特選盤 モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 / 第17番(全集第2弾) 

モツPコン全集の第2弾はまたもや特選でなんと連続特選盤! しかしながら、この後輸入盤では第7弾までリリースされるが国内盤仕様は発売されず、このシリーズの国内月評はこれで終了となってしまった。これが続けば特選盤も増えただろうに。。。

【岩井氏月評】推薦
  • ピアノのカツァリスは前回同様、確たる自信を支えとし、落ち着きある表情を見せつつ、モーツァルトの世界を品よくしなやかに再現している。
  • ぎこちなさ、わざとらしさ、などから完全に開放された演奏ぶりでなんとも快い。
【歌崎氏月評】推薦
  • 前作と同様に感興豊かな表現をいきいきと織りなした演奏は、爽やかな生命観と明敏で光彩ゆたかな味わいにとんでいて、新鮮な魅力がある。
  • 冴えた技巧と音をすっきりとしなやかな表現、味わいの深さに不足はないし、美しく粒立ち良い音の切れ味と快活な躍動感もカツァリスならではの魅力。
  • リとオーケストラもカツァリスのソロに的確に呼応しており主役を引き立てるうえで不足ないサポートぶりである。
【録音評】90-93点
  • ピアノは自然で輪郭はっきりとした音像が広がり、ホールの美しい自然な響きをともなって、つやっぽく美しい音色。

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レコード芸術 2006年12月号 新譜月評

準推薦盤 シプリアン・カツァリス・アーカイヴスー1 / ロシアン・ミュージック 

いまでは絶対に弾かないラフマニノフとチャイコフスキーのコンチェルトを20代のときに弾いた録音で、こういう記録物にしては珍しく両氏とも高評価の揃って準推薦。岩井氏は本当に編曲ものじゃなければ褒めてくれるんだよなー。。。

【岩井氏月評】
  • 出し遅れた証文、といった感じ。
  • 感情豊満なラフマニノフに、チャイコフスキーの華麗、どちらも底の浅さや脆さを意識させない出来栄え。
  • ただ、聴き手に対するアピール度はラフマニノフのほうが強かった。
【歌崎氏月評】
  • チャイコフスキーは、的確な技法に余裕を感じさせる落ち着いた運びも印象的。カツァリスらしい快演。
  • ラフマニノフはより魅力的。卓越した技巧で存分にピアノを鳴らし切った第1楽章カデンツァは圧巻。
  • その他の小品はカツァリスの個性がよりストレートに表れており、快速な超絶技巧曲の達者極まりない演奏は人によって好悪はあるにしても、カツァリスならではの聴きもの。
【録音評】75-80点
  • サウンドはさまざま。

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レコード芸術 2009年12月号 新譜月評

準推薦盤 ウィーン・コネクション
 
こういう究極の企画ものアルバムを評価してくれたのは濱田氏くらいなのだな・・・。

【濱田氏月評】
  • これはいかにも曲者ーというと失礼か、アイデアマンといいなおそうー、カツァリスらしい「企画もの」のCDである。
  • 様々なアイデアを満載した2枚組だが、カツァリスのすべてを心得た流暢な達演を聴いているといたってスムーズに時は流れる。
  • ヒュッテンブレナーの諸作やライネッケ編未完成は世界初録音ということでもあり、手に入れて損のないアルバムといえよう。
【録音評】93点
  • スタインウェイらしい弾きをもった音が見事にとらえられている。模範的なピアノ録音といえよう。

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レコード芸術 2010年11月号 新譜月評

準推薦盤 旅のアルバムー1(ヨーロッパ) 

濱田・那須田両氏ともこのアルバムに「フランスがないのが不思議」だと月評内に記しているが、フランスものは別にPIANO21で出しているので。というのはカツァリスファンは分かるが、そのフランスものアルバム(フレンチミュージック)は国内盤未発売扱いで月評対象外なので両氏は知らなかったのは仕方ないか。
いつもカツァリス贔屓してくれる濱田氏は自らの専門分野スペインものの選曲に異議ありで無印・・・。

【濱田氏月評】無印
  • 生まれた国フランスがないのが奇妙だが、父母の国だというキプロスで終わるところは意味ありげ。
  • おおむね普段演奏されることのない秘曲、珍曲が選ばれているが退屈はさせないだろう。
  • 気に入らないのはスペインでアルベニスのタンゴをきんきら飾りのゴドフスキー編にしてくれたこと。気持が足りない。
【那須田氏月評】
  • コンセプトにこだわるカツァリスならではのアルバム。
  • フランスが入っていないのが不思議だが、終着駅のキプロスの「自由の歌」が意味深長。
  • どの演奏もカツァリスの精神を感じさせる軽やかで明快、洗練された技術と音楽性を感じさせる。
【録音評】85-90点
  • 内容はさまざま。1988年から2008年に及ぶものだけに、音のクオリティも統一されていない。

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レコード芸術 2010年12月号 新譜月評

準推薦盤 ショパン:ピアノ協奏曲第2番(4種の版による) 

こういう全ジャンル入ったアルバムはどこの部門になるのかといえば、普通に「協奏曲」部門だったw(ベト交響曲リスト編は器楽曲部門)。
かつての天敵岩井氏のみ準マークで歌崎氏は無印。歌崎氏の共演者に恵まれなかったとの指摘は仕方ない(というよりカツァリスの協奏曲アルバムはほぼすべてに当てはまるけど)。
岩井氏の最後のコメント「来年はリスト・イヤー。ひょっとするとカツァリスは、またこの種の録音をやるかもしれない」に爆笑。敵はよく敵を知るということかwww

【岩井氏月評】
  • ショパンが残した楽譜を使用しているピアノ・オーケストラ版、ピアノソロ版が音楽的に聴き手を圧倒する力が大きい。
  • とくにソロ版はカツァリスが指揮とソロを兼ね、すべてを一身に引き受けて最善を尽くすべく、気力を集中した演奏を聴かせてくれる。
  • その他五重奏版と2台ピアノ版はこういう版があるのかと思わせる以上にはない。
  • 来年はリスト・イヤー。ひょっとするとカツァリスは、またこの種の録音をやるかもしれない。
【歌崎氏月評】無印
  • 4種の版と4台のピアノを弾き分けるという凝りようで興味深いアルバムではあるが、誰にでもお勧めできる企画とは言い難いし、共演者に恵まれなかったのも減点の要因。
  • オーケストラ版のクイーンズランド交響楽団は少々物足りなく、生気に乏しい。こういうアルバムではあるが、オリジナル版のオーケストラがこれでは魅力半減。
  • ピアノ五重奏版はアンサンブルも優れており味わい豊かで楽しめた。
  • ピアノソロ版、2台版は豊かな響きを十分にいかし、弱音での細かな味わいはカツァリスならでは。
【録音評】90-93点
  • オケとの共演はライブで中域から高域で少々混沌としている。
  • スタジオ録音は好条件で音色表現がくまなく伝わる。4つのピアノの音色を堪能することができる。

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レコード芸術 2011年12月号 新譜月評

準特選盤 カツァリス/プレイズ・リストー1 

前年のショパンの後に、アーカイブシリーズでシューマン、シューベルトもリリースされているのだが、国内盤はなしなので、次の月評対象となったのはアニバーサリーイヤーとなったリスト。これも協奏曲を含むが月評は器楽曲部門。しかし、那須田氏が推薦も、濱田氏が準となったため、準特選止まり。なかなかソロアルバムでは推薦マークが揃わないw
また、このころ弾き始めたピアノ協奏曲第2番のソロバージョンは残念ながら収録されていない。

【濱田氏月評】
  • 40年近く前のソナタは奔放でパッショネートな表現、多彩な表情性と興味深い演奏だが、デジタルで再録音して含めるほうが聴衆に対するエチケットだと思うのだが、カツァリスにしてみれば理由もあるのだろう。
  • CD1とCD2の収録曲の趣向は意義ある試み。今後、第2集、第3集と続くとすればどんもような内容になるのか興味深い。
  • ユニークといえば、CDの表紙に大きく映っているカツァリスの顔も一見楽し気にはしゃいだ一瞬のようでありながら、見ていると目つきなどはちょっと狂気をはらんだようで、目をそらしたくなってくる。思えばそのような「毒」もカツァリスのリストを興味深いものにする大切な要素かもしれない。
【那須田氏月評】推薦
  • カツァリスはアイデアマンであり何かというと常人には思いつかない面白い企画のCDを作る人で、モーツァルトの年も、ショパンの年もそうだったが、今年もやはり出て来ました。
  • ハンガリー狂詩曲第5番が聴きどころでその語り口は大変に味わい深い。
  • 味わい深い豊かな小品たち、協奏曲はライブ、サーカスみたい。カツァリスの名人芸が存分に味わえる。
  • ロ短調ソナタは録音が悪いのが残念だが、演奏は第一級。煌々としたタッチで全曲を通して気魄が籠り、鋼のテクニックと引き締まった表現、熱いパッションを滾らせた名演だ。
【録音評】75-90点
  • 最新録音部分は水準以上に優れ、ゆがみ感を伴わないのびやかを聴かせる美しいスタジオ録音。

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レコード芸術 2013年05月号 新譜月評

準推薦盤 カツァリス/ピアノ・レアリティーズ-3(トランスクリプションズ) 

前作リストの後はショパンライブやレアリティーズ2なども発売されたが、月評対象外となり、1年半ぶりの国内盤扱いリリースはピアノレアリティーズ3。一番、月評対象としてもよさそうなのが3だったが結果は準推薦止まり。批評内容は悪くないものの、あまりにマニアックな内容だけに仕方ないか。那須田氏の「いるんですね、こういう人が」にwww

【濱田氏月評】
  • 例によって味なところのある選曲。
  • とくに珍しくおもしろいのは、ラフマニノフの2台のピアノ組曲をピアノ独奏用に編んだもの。2人で弾いても容易でないこのデュオをソロでという大胆な試みだが、カツァリスはさすが、事も無げに弾いてのけている。
  • 同じくラフマニノフの第2交響曲からのアダージョもあらためて曲の魅力を親しみやすい形で指し示してくれる。カツァリスの達腕はあらゆる曲目を余裕と潤いをもって弾き表し、大いに傾聴させる。
【那須田氏月評】
  • 空虚なエンタテインメントと考えられていたピアノの超絶技巧復権の時代をいち早く印象付けたカツァリス。ユニークなアルバムで新風を吹き込んでいる。
  • 編曲といってもカツァリスは珍しい楽譜を探し出してくる。ペンソンはカツァリスとは友人でパリ大学の物理学の教授だという。いるんですね、ピアノマニアにはこういう人が。
  • ハチャトリアン剣の舞はサーカスのようなヴィルトゥーゾ・ピース。ラフマニノフの2台のピアノのための組曲も聴きどころ。こんな芸当はカツァリスにしかできないだろう。
【録音評】91点
  • 粒立ちのよさと歯切れのよい感触をはっきり聞き取れる。
  • 残響が短めで低音パートの分離も鮮明だが、バランスとしてはもう少し低音部の厚みがほしい。

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レコード芸術 2015年11月号 新譜月評

準推薦盤 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(協奏曲版、ピアノ独奏版) 

前作から間にエリザベートコンクールのライブ盤を挟んでリリースされた月評対象CDは例の皇帝の「楽団ひとり」バージョン。これは、正直いってマリナー伴奏の通常の協奏曲版よりもそのピアノソロ版がメインなのだが、月評担当は協奏曲部門。おそらく1曲目で部門はきまってるみたいだが、ソロ版はオマケ扱いの様子で協奏曲部門での批評がよくなるはずもなく、歌崎、岡部両氏とも準推薦止まり。むしろよく準マークがついたな、くらいwww

【歌崎氏月評】
  • 協奏曲はことさら大きく構えることはなく、冒頭のソロからいかにも明敏にバランスよい。欲をいえば、さらにキリリと引き締まった音も聴きたいとは思う。
  • 第2楽章の清澄に澄んだ音もいかにも味わい深くマリナーの指揮も巧み。第3楽章のロンドでもカツァリスはことさら力技に頼ることなくしっかり明敏に演奏を織りなしている。
  • 自ら編曲したピアノ独奏版でのカツァリスはオーケストラ無の演奏なので、当然多くの音を付け加えているが、原曲以上に存分に演奏を楽しんでいるようである。
【岡部氏月評】
  • 協奏曲はいつもながらの彼の個性の刻印が明確で、粒立ちの揃った歯切れのいい彼のピアノが印象的な第1楽章、終楽章は軽やかと色彩豊かさなど、このピアニストならではの煌めきが随所に見いだされる。
  • ただ、その表層の奥になにがあるかについては評価が別れようか。
  • カツァリス自身によりピアノ独奏版は、第1楽章の冒頭の長大なトゥッティで独奏の出番がないことへの不満がこの編曲への契機になったとカツァリスが冗談めかして語っているが間違いなくファンにはたまらないアイテムだろうし、ベートーヴェン交響曲のリスト編に連なるものとなり得る点も見逃せない。
  • とはいえ、音楽そのものの手ごたえという面では、ことに原曲と並置されることが、ディスクの構成、コンセプト上やむを得ないこととはいえ、やはり一定の保留は免れまい。
【録音評】90点
  • ピアノと管弦楽はエネルギー・バランスのよさやのびやかな音場感を聴かせる。
  • 独奏版とサイズの印象が等しい音像の作り方がされている。

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レコード芸術 2016年12月号 新譜月評

準特選盤 カツァリス/親和力 

111ピアノヒッツ、ハーゲン、ギンジンとの共演盤などは月評対象外で1年ぶりの月評登場は親和力アルバム。コンセプトアルバムだが両氏の評価は高いものの、濱田氏が準マークで、またもや特選を逃す結果に。やっぱ揃わんなあwww
なお、このCDから基本現在の録音体制(エンジニア、ピアノ)となり、音質が改善。録音評も少し良くなっている、気がする。。。

【濱田氏月評】
  • 大家級ピアニストの中でも屈指のアイデアマンたるカツァリスが、またまた、おもしろい企画もののCDを作った。
  • 膨大なレパートリーを誇るカツァリスらしく「世界初録音」になるような珍曲や珍しい編曲譜も交えられているのが、また妙味。
  • ともかくアルバム全体は万華鏡めいた多彩さの小品リサイタルで、ベヒシュタインの味をも生かした達者な指とセンスの良さが支えになる。一覧一聴の価値、薄からず。
【那須田氏月評】推薦
  • 一対の曲がグループごとに配置され、様々な親和力の関係を感じ取ろうという狙い、さすがカツァリス、面白いことを考える。
  • ショパンのマズルカには友人のフォンタナの曲というように非常にレアな曲もある。カツァリスの演奏もすばらしい。
  • エグモント序曲などは技術的にも音楽的にも他とは一線を画していて本当に聴かせる。
【録音評】93点
  • マイクは近めに配置されて教会の豊かな響きは控えめ。
  • ひたすら演奏者の表現の多彩さを伝えるものになっており、興味深い録音だ。

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レコード芸術 2017年02月号 新譜月評

準特選盤 カツァリス&広瀬悦子 ロシアのバレエ音楽トランスクリプション集 

この時期、録音だけではなく来日公演でも共演していた広瀬悦子氏との共演盤。ソロでは特選盤を連発している広瀬氏とのデュオも濱田氏が準マークで揃わず、準特選。一方、那須田氏は「今月の筆者のベスト3の1つ」と高評価。

【濱田氏月評】
  • カツァリス・広瀬のコンビは、全体に華麗かつダイナミックで切れの良い達演ぶりを示す。抒情的な曲目では、よく歌ってもいて、聴き映えのするデュオである。
  • 同一曲目を弾いている児玉姉妹デュオのようなフィーリングのあたたかさや親和力には欠けるが、これは止むを得まい。
  • 広瀬の技量はカツァリスに遜色なく、タッチも冴えている。
【那須田氏月評】推薦
  • 広瀬はパリで学んだ色彩豊かなフレンチ・ピアニズムと鋭敏な感性を併せ持つ。この二人はどこか響き合うものがあるのだろう。
  • ストラヴィンスキー火の鳥から表現の方向性や感性の在り方が見事に合致。そのうえで火花を散らすようなスリリングなアンサンブルを聴かせる。
  • 今月の筆者のベスト3の1つ。
【録音評】93点
  • 距離感や空間の広がりに教会録音の特徴を聴きとれる。
  • 一音一音を柔らかく包み込むような豊かな余韻が乗り、全体の響きを柔らかい雰囲気に変えている。

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レコード芸術 2020年02月号 新譜月評

特選盤 ベートーヴェン・クロノロジカル・オデッセイ 

1983年にはじめてレコード芸術の月評に登場して以来、途中協奏曲での特選盤はあったものの、ソロ演奏での特選はなし。時にはトランスクリプションはやめたらどうか、とか、歌い下手などとボロカス書かれたりしたが、苦節37年、月評対象でいえば、49作目にして記念すべき初ソロ盤での特選獲得がこのベートーヴェンアニバーサリー6枚組アルバム! いや、長かった。というよりついこの間のことじゃないか! いまあらためて、テルデック、ソニークラシカル時代の名盤が評価されなかったのはお堅い評論家先生のせいなのか?、時代のせいなのか?、こうやって整理すると感慨深い。

【濱田氏月評】推薦
  • まさしくカツァリスならではの珍盤にして意欲作。
  • 編曲物はそれぞれに何らかの意味でおもしろく、飽かずに聴いていくことができる。
  • 最高に心惹かれるのは、クロイツェルソナタ全曲でピアノとヴァイオリンパートが一緒くたになって聴こえてくるのは実に痛快。カツァリスはこういうのが巧いんだ、本当に。
  • その他は聴いてのお楽しみとしておこう。
【那須田氏月評】推薦
  • カツァリスはしばらくご無沙汰だなと思っていると作曲家の記念年のようなときに、あまり人のやらないようなコンセプトのCDをリリースする。今回のベートーヴェンも然り。
  • 持ち前のヴィルトゥオジティを発揮して気分の赴くままに次々と曲を録音していっているようなところがあり、その曲も即興的で閃きに溢れ、時に洒脱。
  • ドレスラーの変奏曲などでは思わぬところで内声を出すのも彼らしい。変奏曲は即興演奏のジャンルだったからこのようなアプローチは正しい。
  • オリジナル曲もさることながら、アレンジ物がおもしろい。遊び心いっぱいのベートーヴェンアルバムだ。
【録音評】90点
  • 使用マイクが旧東ドイツのヴィンテージ品であるのと楽器がベヒシュタインであるためか、いくぶん太い音色で現代の平均的なピアノ録音とは違った雰囲気。
  • かなりの接近マイクで、ダイナミック・レンジもあまりない。

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レコード芸術 2020年02月号 新譜月評

準特選盤 モニューシュコ ピアノ作品&トランスクリプション集 

クロノロジカルオデッセイと同じ2020年2月号掲載のモニューシュコアルバム。こういう珍しいレパートリー曲はあまり推薦マークはつかないが、濱田氏が準で那須田氏は推薦マークであっさり準特選。

【濱田氏月評】
  • カツァリスの演奏には味わいが豊かにこもり「良い”掘り出し物”を聴かせてもらった」の実感が残る。
【那須田氏月評】推薦
  • ポロネーズやマズルカなどの舞曲が楽しい。
  • 民族ダンスとピアニスティックな魅力にあふれた洒落たサロン音楽だ。
【録音評】88点
  • 距離感は決して遠くないが、楽器としてのピアノの大きさや重量感が過小評価されているような、軽くて宙に浮いたように聞こえる。
  • その反面、曲のメロディラインがハッキリ聴きとれる現象を生んでいるのは意図的に作用を計算した結果だろうか。

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レコード芸術 2020年11月号 新譜月評

準特選盤 ハープ・ミーツ・ピアノ 

これも企画ものだが濱田氏が推薦マーク、那須田氏が準マークで準特選。昔のレコ芸批評は企画ものはまず推薦マークなんか付かなかったよなー。

【濱田氏月評】推薦
  • ピアノ界屈指のアイデアマン、カツァリスのしっとり落ち着いた、しかもその反面、充分に多彩な変化の計られたアルバム。
  • 終始楽しみつつ余韻、余情を味わえる秀演だ。
【那須田氏月評】
  • 1曲目のラフマニノフがすばらしい。ピアノの呼びかけに柔らかなハープが応え、ピアノがナイチンゲールの鳴き声を模倣する。両者が混然一体となって幻想的な状況が開かれる。
  • 一番の聴きどころはシェスノーのオリジナル曲。タブローは想像をこえた実に多様なサウンドが聴こえてきて面白い。
【録音評】91点
  • ピアノ演奏が主体に聴こえる曲が多い。
  • ピアノに比べてハープの音がクリアさに欠け、どんより曇った収録になっている。

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レコード芸術 2022年02月号 新譜月評

特選盤 J.S.バッハ:ピアノ作品集(未発表1994&2000年録音集) 

ソロ盤での2回目の特選獲得となったのは、意外にもこれまでの未発売だった録音を集めたこのバッハ作品集。月評担当はこの前年に亡くなってしまった濱田滋郎大先生に代わり草野次郎氏と継続の那須田氏。両者ともにオリジナル、編曲物ともに評価してくれている。ところで、このときの記事に大切なことの言及がないのだが、このアルバムに収められている曲のうち、1994年録音のものはソニークラシカルの「イタリア風バッハVol1」と同時に録音したもので、2000年録音のものはPIANO21の「バッハリサイタル」のときの録音ということ。その違いが最も現れているのが録音音質なのだが、録音評はその点で的確。

【那須田氏月評】推薦
  • (1枚目各曲を評して)明るい音色を基調としてカラフル、囁くようにミステリアス、明るい情感で洒落、力強く雀躍と弾む。三十二分音符の鮮やかさ!多様なアフェクトが多様なアーティキュレーションで表現されていて飽きさせない。
  • (2枚目)モダンピアノのピアノの機能と美学に沿った演奏。
【草野氏月評】推薦
  • この頃の40代のカツァリスの冴えたピアニズムが光っている。
  • カツァリスの洗練された至芸で聴き応えある演奏が展開されていく。この時代の協奏曲様式に興味のある方には必聴の1枚と言える。
【録音評】91点
  • 収録曲のほとんどは1994年のホール録音で、4曲のみ2000年スタジオ録音である。
  • 重厚で充実したピアノ音を捉えたホール録音に対して、スタジオ録音はやや貧相で軽い印象を受ける。
  • 制作者の違いによる音の変化だと思われるが、通常新規に追加録音する場合は既存の音状態を参考にするはずだが、スタジオでは独自に進行したようで左右に大きく広がった音像である。

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レコード芸術 2022年03月号 新譜月評

特選盤 サン・サーンス:ピアノ・トランスクリプション集 

前月のバッハアルバムに続き、2か月連続の特選獲得。これでソロアルバム3作目の特選。記憶に新しいサンサーンスアニバーサリーイヤーに出たオルガン付き交響曲のトランスクリプションというビックリ企画ものアルバムだったが、両氏絶賛。こういう企画もの、編曲ものアルバムでも普通に特選マークなんて本当に時代が変わったと実感。

【那須田氏月評】推薦
  • 先月バッハのトランスクリプションが出たと思ったら、今月はサンサーンス。この人はなんでもかんでもピアノで弾きたがる。それもたいてい既存の編曲では物足りないらしく手を加えてうんと難しくする。そのあたりがピアノ・マニアのファンに共感を持たれる理由なのだろう。
  • 交響曲第3番の後半のオルガンが入るアダージョのサウンドは神聖な趣で、第2楽章後半も壮麗。ほかにもピアノ協奏曲第2番の1台版や死の舞踏など聴きどころ多し。
【草野氏月評】推薦
  • 交響曲第3番をピアノ1台で演奏する自体普通は考えられないが、カツァリスは勇敢に挑戦し見事にこの難曲を制覇している。特に後半の第2楽章冒頭からのアレグロの難しい同音連打の連続は左右すべてにおいて鮮やかに打鍵しているのは驚異的なテクニックで、全曲最後のコーダも凄まじい限り。
  • 死の舞踏はリストの超絶技巧編曲だがカツァリスのアクロバット的テクニックがそれを凌駕している。
【録音評】92点
  • 十分な残響に包まれ、音の美しさや雄大なスケールなど近すぎず、遠すぎずの距離感で聴かせる。

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レコード芸術 2022年06月号 新譜月評

特選盤 ギリシャのピアノ作品集 

ギリシャの友人のレーベルに録音したギリシャ人作曲家の作品集なのだが、なんとびっくりこれも特選で、2022年に入って3作連続の特選。本当にどうしてしまったのだろうか。

【那須田氏月評】推薦
  • カツァリスのタッチはいつものフランス音楽やショパンの時よりもさらに明るく輝いていて、ギリシャの夏の太陽や乾いた空気を想像させてくれる。
【草野氏月評】推薦
  • 和声の微細な変化による色彩の移ろいが特に美しく、カツァリスもその微細なニュアンスを十分に引き出している。
  • フランス的な洗練さを受け継いではいるが、根底にはギリシャ的な南の明るさがどの曲にも流れている。
【録音評】93点
  • 透明度の高い重厚でスケールの大きいピアノの音。
  • 均整の取れたバランスの良い優雅な響きの音楽として見事に収録した優れた作品。

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レコード芸術 2023年01月号 新譜月評

特選盤 ショパンの時代 

快進撃は続いて、なんとこれで4作連続の特選盤になったのは、前々からコンサートでも弾いていたショパンの弟子・友人筋の作曲家を集めた作品集「ショパンの時代」。前作に続いて、こういう企画もの、珍曲ものアルバムが特選というのも大昔では考えられなかった傾向。

【那須田氏月評】推薦
  • カツァリスはさすがにピアノまでショパンの時代のものというわけにはいかず、ベヒシュタインで概して軽めのサロン音楽だが、彼の演奏は明るくて輝かしいサウンドで陰影が濃い。
【草野氏月評】推薦
  • カツァリスによって歴史のフィルターに消去された曲がこのCDの中でふたたび生命が与えられ蘇ることとなった。
  • カツァリスは各曲の安定した書式とショパンを連想させるピアニスティックな効果を最大限引き出している。
【録音評】92点
  • ほとんどが似通った表情の曲でピアノの音の諸相が聴けるというわけにはいかないようだ。

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レコード芸術 2023年04月号 新譜月評

準特選盤 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」(ビゼー編曲) 

オペラを丸ごとピアノ1台に編曲したもののCDなんていまの時代でも珍盤だが、間違いなく80-90年代であれば、「オペラをピアノで聴く意味が分からない」「歌はピアノだと無理」「ゲテモノ」などとボロカスいわれ、間違いなく月評でも無印だったろうと考えれば、準特選でも御の字。

【那須田氏月評】推薦
  • いくらピアノ愛好家でも歌のないオペラのほぼ全曲版なんてさぞかし退屈だろうと思われるだろうが、さすが鍵盤の魔術師、結構楽しめる。
  • アレグロの曲のパッショネルな快活さ、カラフルな色彩感は他の人にはないもので、一聴してカツァリスの演奏と分かるのが凄い。聴きどころ満載だ。
【草野氏月評】推薦
  • 歌詞もなくピアノの音色のみでのオペラ全曲演奏は困難であることは容易に想像できる。だが、ここではカツァリスの魔法のピアノ奏法でかなり救われている。
  • カツァリスは序曲に続いてアリアや重唱をすべて演奏し、それぞれのキャラクターに合わせて丁寧に表情を設定している。特に両幕の長大なフィナーレは素晴らしい。
【録音評】91点
  • 適切な距離を確保しピアノの周囲に柔らかい質感の残響が広がり、中規模のホールで聴いているような空間の大きさを実感することができる。

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レコード芸術 2023年06月号 新譜月評

準推薦盤 ハイドン:ピアノ協奏曲Hob.XVIII-11/同Hob.XVIII-9/ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 

残念ながら2023年7月号にてレコード芸術が休刊となってしまい、40年近くの月評まとめもこれが最後になってしまった。その記念すべきCDは、録音したもののお蔵入りになっていた故マリナーとのハイドンピアノ協奏曲集。しかし、ここのところ特選連発だったが、両氏ともに準マークで特選ならず。編曲もの、企画もので最近は特選なのに、今回のような普通のレパートリーで準マークというのが、以前と真逆で面白いが、それにしても数々のバトルを見せつけてくれたレコ芸がなくなってしまったのは残念。

【岡部氏月評】
  • 自作など複数のカデンツァを併録するなど、ピアニストのこだわりの詰まった1枚である。
  • 時に過度に流されることなく、カツァリスは自らのスタンスを率直に明らかにしつつ、ヤマハCFXを弾き、自由に音楽を紡いでいく。
【広瀬氏月評】
  • 誠実に大胆にアプローチした結果の響きとして、素朴な美しさに貫かれている。
  • 複数のカデンツァを別トラックに収録しているのは、アルバムとしての資料価値を高める一方で、アルバムとしての統一感を弱める結果にもつながっているので痛し痒しではある。
【録音評】93点
  • 全体に穏やかで温かい響きに包まれた収録。とろけるようなまろやかなピアノの音色は、音像としてはやや左右に広げられているが、オケとの溶け合いは十分。

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